アメリカに来る前、冗談半分に「ホームパーティ留学」も理由の一つだと一部の友達に公言していましたが、それがほぼ現実となって完成形に近づいたのが今年ののサンクスギビングパーティ。
サンクスギビングの祝日(11月の第4木曜日)は日本には馴染みがないけど、アメリカでは日本のお正月と置き換えられるように、伝統的な料理を家族で囲み、温かい平和な時間を過ごすというのが一般的。
クリスマスはー?と思うかもしれないけど、クリスマスは宗教性が絡んでくるので多国籍の人種と宗教観が混ざり合ったアメリカでは誰にでも当てはまるわけではなく(事実公共機関では年々増してホリデーという単語に置き換えられている)、誰でも祝えるのはサンクスギビングデーなのです。
クリスマスとサンクスギビングをどちらもお祝いする人たちの中でも、どっちに重点を置くかはその人や家族の習慣次第でそれぞれ。実家を離れた人がお盆かお正月のどちらに帰ろうかというのと似た感覚ですね。
日本と同様に様々な理由で帰省しない組がわたしも含め周りには多いので、そんな輩を集めて持ち寄りホームパーティの集大成的に発展したのが今年のサンクスギビングデーでした。帰省しない理由というのも単純にクリスマス期間に帰省するからだったり、ある夫婦は共に孤児院育ちで実家が無いという実態もあるのが、アメリカの複雑な家庭環境を浮き彫りにしているところ。
ともかく、毎週会うような友達中心でサンクスギビングパーティというのがアメリカに来てからわたしは3回目で、年々子供が増えたり、友達のお母さんが登場したりと規模が広がり、それこそ自分を取り巻く大家族となっている。そして男女関係なく料理上手なのでスーパーで買ってきたケーキなんてのは一切無い上、みんな普段のホームパーティをはるかに超えた張り切り様だったのでした。
去年と同じく、前々日の夜から大きなターキーをドミニカ系アメリカンの友達がビターオレンジ(橙)やドミニカンなスパイスで塩水漬けにするところからスタート。
当日の料理 ー
8kg超えのローストターキーとグレービーソース、エンパナーダというヒスパニックなミートパイの揚げ物、ポーチェッタという豚肉料理、ローストビーフと牛骨髄のソース、ハムのラム酒煮込み、マスカルポーネマッシュポテト、ポテトとチーズのグラタン、葉物野菜の煮込み、ローストインゲンマメとガーリック、ブロッコリ炒め、サラダ、手作りパンとハーブのバター
デザート ー
アップルパイ、ピーカンナッツとパンプキンのパイ、フルーツゼリー、チーズケーキ、アフリカンなチーズケーキ的なもの、フルーツサラダ、クッキー
ドリンク ー
自家製スタウトビール、一年寝かせたウィンターエール、他ビール、ワイン・ロゼ数種類
主要は伝統に沿ったラインナップですが、例えばパンプキンパイをピーカンナッツフィリングと二層にするなど、個々工夫を凝らしてます。ぜーんぶ美味しくて、でも大量のメニューの食べ放題なので笑、どれもほんの一口ずつお皿に取りました。
ターキーを切り分けるまでが担当者の役割。(去年とほぼ同じ写真笑)
揺らした時のぷるんぷるんさまで完璧なフルーツゼリー
と、二層で贅沢なチーズケーキ
テーブルいっぱいのデザート!
感激した超ポートランド的エピソード一つ。
友達の友達の陶芸家の方がパーティに来て手作りのパンとハーブのバターがとおっても美味しく、彼女が帰り際にバターのお皿を返さなきゃと引き止めると、それあなたへギフトよ、と。表が水色の釉薬で裏にはお皿いっぱいにお花が彫ってありウットリするようなデザイン。こんな粋で気前のいい人になりたいと思いました。
最初の"ホームパーティ留学"の話に戻ると、晴れの続く夏場は週1以上(時に3日連続!)で友達とバーベキューし、外でバーベキューできない季節でもひと月に数回は自分の家や友達宅でご飯を一緒に食べる機会があり、語学学校に行かずとも英語力はほとんどホームパーティで鍛えられてるとも言える。特に大勢で集まるより、4〜6人のグループだと全員と話さないわけにはいかないので、誰とでも会話ができるコミュニケーション力も必要。
何より、美味しいものを囲んでの会話ってのは一番取っ付きやすい内容でもあるから、英会話初心者でもこれ美味しーね、どうやって作ったの、からの会話は広がりやすい。
文化の違いで食材が違ったり、レシピを交換したり、料理好き同士ならなおさら話は盛り上がる。話のタネがないと何を話していいか分からないような相手でも、(あなたの作った)これ美味しい!の一言でありがとうと微笑み返してくれるとホッとする。お酒も入ってくると細かい文法を気にするより伝えたいことの方が優先して英語も流暢になってきて、聞いてる相手がそうそうその通り!って同感された時の嬉しさといったらない。
そしてホームパーティをホストしていると、集中してできる一対一の会話だけでなく、目線の先でグラスはどの棚かなーと探してる人に気付いたり自分が料理をしながら周りの会話に加わったりなんかが必要になってくる。これが日本語同士なら大したことがないことでも、"ながら聞き"の聞き取り力はまだまだ難しい。
でも少しずつ、前回よりちょっとマシと思える状況が続けば、すごくゆっくりだけど確実に前進しているはず。一年前の自分と比べれば、ちょっとマシがだいぶマシになる。そんな小さな変化の積み重ね。
20人以上集まった今年のサンクスギビングパーティでは、すべての人と話せなくて気も使いきれないのが現状で今後の改善点だけど、みんながお腹も満足感もいっぱいで帰って行った時の笑顔に、居心地のいい空間を作るおもてなしができたかなと思えたのでした。